エンジニアかっぴの日記

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組み込みエンジニアが語る・・仕事と読書の知恵袋

日本は技術立国なのに研究開発が弱体化して残念だと思う・・それでも希望があると思う理由

こんにちは、組み込みエンジニアかっぴです。

納期の悪魔と戦いが長引いており、体がなまってきている

のを感じております。

夜帰宅するとき、「寒くなってきたな」と

しみじみ思いながら「今年ももう少しで終わるのか」と

つぶやきながら過ごしております。

仕事の関係で、大学と共同研究をおこなっており

実験しながら学生や教授や研究員と雑談を交えながら

近況について話すことがありました。

エンジニアとしては、残念だと思ったことと

まだまだ希望があると思ったことについて

綴ってみたいと思います。

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1.日本は技術立国なのか

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日本は戦後の、非常に貧しい時代から高度成長期を得て急激に成長して

きました。これは言うまでもなく、現在私たちは高度成長期に開発された

機器によって豊かな生活が送れるようになっています。

日本の製品は品質が高く壊れにくいということで外国からも人気があり

爆買い」という現象が発生するくらいです。

 

日本の自動車も質が高く安全性も高いと思います。日本は、自動車産業

を中心に製造業が発展してきたといっても過言ではないと思います。

 

しかし、自動運転自動車を実現するために必要であるといわれている

5G技術についてはすでに後れを取っており、日本は存在感を失いつつ

あります。

科学技術について後れを取っておりますが、それよりも深刻なのは

情報技術(サイバー技術)の分野であると思います。

情報技術分野で後れをとることは、新興技術開発に遅れをとっている

ことと同じであり、ますます優位性が失われることになります。

最近の情報技術の動向として(少し古いかもしれませんが・・)

 

  • ナノセンサー(ナノマシーン:体内に埋め込み体の情報を得る)
  • ブロックチェーン(仮想通貨の基礎)
  • 自動運転などAI技術

 

がなどがあります。これらを実現するためには情報技術が必要

になります。まさにこれからといえる技術に対して後れを取っている

ことから日本は、真の意味での技術立国とは言えなくなっている

感じてしまいます。 

 

この分野が深刻な後れを取っていることが、エンジニアとして

開発している身として残念に思うのであります。

 

2.縮小される研究費

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私がお世話になっている大学によると研究費は年々縮小している

ということです。少子化の影響もあり生徒数も減少していくことで

資金集めも年々厳しくなってきているそうです。

 

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国の方針で国立大学法人をおこない毎年減額しているのが

現状のようです。

研究費を集めるために大学が知恵を絞って経営をしていかない

と潰れていくのだろうと思います。

 

研究者も外部から資金獲得を行うかを考えなければならない

ことは競争力をあげるためには必要なことでもあると思います。

 

国の予算のつけ方にも問題があるようで、日本の上位クラスの

大学が推し進める分野(特に環境)に多くの予算をつけ過ぎて

他に予算が回りにくく新興技術の分野の予算が取れないという

ことのようです。

 

科学誌のネイチャーによると「日本の研究は2000年以降において

失速し、地位が揺らいでいる。」と分析しています。

 

ネイチャーは科学誌であるため製造業において関係ないと思うかも

しれませんが実際は、「電子材料」「エンジニアリング(情報技術)」

においてシェアの低下が目立ってきています。

 

研究費が縮小されているのは大学のみだけの話ではなく、

企業においても縮小(廃止)されているのが現状だといえます。

バブル期以降に企業においても新興技術に投資をしにくくなっている

こともあり、ますますシェアの低下につながってしまいます。

 

新興技術に投資せず相当な損をした例として、フラッシュメモリーがあり

ます。フラッシュメモリーは現在韓国のサムスンが世界シェアのほとんど

を占めています。

しかし、もともとは東芝の開発チームが開発した技術でした。

新興技術を生み出す能力があるにもかかわらず、その技術のすごさ

気づかずに開発チームを冷遇し続けた結果、技術が流れていったという

残念な結果になってしまいました。フラッシュメモリーの普及している

現状を見ると相当な損をしたのは間違いないと思います。

 

予算を削りすぎて、新興技術が生み出せない状況を打破しない限り

技術立国としての再生は難しいのだろうと思います。

 

 3.学会が元気なく論文数が減ってきている

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世界のシェアの低下が目立つ傾向は、世界で発表された論文数に

表れているといえます。科学技術振興機構のデータによると

最近の10年間の論文数は世界で見ると80%増加しているのに対して、

日本は14%増にとどまっています。

 

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増えてはいるものの増加率で見たとき少しばらつきがありますが、

年々少なくなっていることから縮小していると言えます。

 

日本の学会で発表を行っても、反応があまりないことも多く

最近の10年間において日本の企業の研究者が論文投稿する

ることが少なくなっているのが現状のようです。

 

日本の学会で発表する価値はほとんどなく国際学会で発表しないと

評価につながらないということになっているようです。

 

世界基準で論文を発表することが標準になりつつあることは競争力が

高まりそうに感じますが、自国の学会が元気を失うことは結果として

世界基準で見たときに競争力を失ってしまうことに繋がっていくと

思います。どうせなら、

 

日本の学会で発表しないと箔がつかない

 

といわれるくらいになってほしいと願うばかりです。

 

知的財産権においても、日本の研究開発の成果であるといえる特許の

登録件数において首位を走っていたのですが、2015年に中国に抜かれて

しまいました。人口の比率を考えれば仕方のないことだったのかもしれま

せんが、知的財産権においてトップクラスを走れなくなったと考えると

製造業で優位を保つことは難しくなってくると考えられます。

 

5G技術に関する知的財産においては中国が優位でありアメリカも対応

に苦慮せざる得ないのが現状です。5Gを超えて6Gを提案し始めている

ことからも不利な現状を認めているようなものです。

 

 4.まとめ:技術立国として弱体化しつつも希望はあります

日本は技術立国を掲げながらも新興技術について世界的にみても後れを

取っておりシャアも奪われたりと負の面を綴ってきました。

それでも、現在自動車産業を中心に製造業が奮闘しており品質のよう

製品が生み出されています。

 

新興技術に予算をつけて活気が戻れば、日本の学会も元気を取り戻し

日本の論文数の減少を止めることができるかもしれません。

 

国が交付金を減少させたことによって研究が停滞した負の側面も

ありますが、大学に資金集めを競わせることによって予算が取れそうな

研究を必死に考えて企業にアピールして共同研究という形でコラボ

したりと良い面もあります。

 

納期の悪魔と戦いながら大学で実験するということをやっておりますが、

実験中は悪魔の存在を忘れるくらい楽しく実験をしております。

 

これが、製品化につながれば面白いですし、大学が発表する論文に

共同研究者として共著して論文を出すこともでき企業としても

良い宣伝になると思います。

 

このように、大学と企業が試行錯誤しながら新興技術が生み出していく

ことがスタンダードになれば技術立国としての日本は再生できること

から希望があると思っております。

 

最後まで、読んでいただきありがとうございました。